手話の文字化を期待していた人たち

「手話には文字がない」というのが一般的な認識である。手話を記述するときは日本語をラベルとしている。そのラベルがその手話表現を意味するとは限らない。例えば「切る」というラベルが貼られた手話があったとしよう。「切る」に相当する手話表現はたくさんある。「切る」ときの道具によって、手話の手形や動作が変わってしまうからだ。

日本語教育の現場で苦慮するのはこのような時である。「ハサミで切る」とか「包丁で切る」、「カッターナイフで切る」といったラベルが必要になろう。

また、手話文法を決定する要素は非手指動作(Non Manual Signals)であり、それをどのように記述するか、日本語ラベルでは対応しきれない部分がある。SignWritingというサットンが考案した手話表記システムは、言語情報に必要な部位を図形的に表示させるものであり、NMSも視覚的に記述を可能にしている。

 

SignWriterはすごい表記システムだと考え、ろう者の間で使えるかどうか検討してほしいと、資料をくれた埼玉県の某先生(難聴学級の先生)がいたことを覚えている。

 

実際にろう者に使ってもらうことを検討してみたが、当時は手話の文字の必要性をそこまで感じる人は皆無に等しかった。

手話の文字化にトライした日本人

日本手話の文字化に取り組んだ日本人を紹介しよう。

 

小田侯朗氏

神田和幸氏

長嶋祐二氏